HEINEです。
「ジョブ型雇用」という単語がニュースで飛び交っていますよね。
最近だと富士通が2021年3月から、日立が2021年4月からジョブ型雇用を導入することを発表したことが有名です。
これらがなぜニュースになっているのかというと日本で就業をしている人全員に関係がある話だからです。
特に会社員の方ですね。
なので、これだけ議論されているわけですが、その内容がわからない人のために書きました。
今回の記事を読むことでジョブ型雇用がこれからの働き方にどう影響するのかについてを話します。
ジョブ型雇用とは?
そもそもジョブ型雇用ってなに?というところから話していきますね。
ジョブ型雇用とは仕事に対して人を割り当てる雇用形態のことをいいます。
欧米の雇用形態のスタンダードではあり、「この仕事ができる人が欲しい。だからこのスキルを持つ人を採用しよう。」といったものです。
なので、最初から専門性を求められることがポイントです。
専門性のスキルがなければ、雇用対象にすらならない、それがジョブ型雇用の特徴になります。
アメリカ映画とかを見ると、働いている人が会社に対しての愛着が低いことを感じたことはありませんでした?
勤務時間が終わったら即帰る。
義理や人情などで会社に残ることはせずに、嫌になったり、条件が良いところを見つけたら即転職。
これらが成立しているのはジョブ型雇用の世界だからなのです。
自分が持つスキルでもっと良い条件の会社があれば転職するのは当たり前ですし、一方で、会社側も同じ給料に対して高いスキルを持つ人間がいたら交換をする、というのも当たり前なのです。
日本で働いてきた視点で考えると驚きますよね。
日本の雇用形態は?
では日本に元々あった雇用形態は何かというとメンバーシップ型雇用といいます。
メンバーシップ型雇用とは人に対して仕事を割り当てる雇用形態です。
つまり、採用時は何もない状態だからいろんな部署を経験させてなんでも対応できるジェネラリストを育てようという雇用方針です。
よく、会社員が数年ごとに部署を移動して、それから役職に昇格する話を聞いたことがあると思います。
それがメンバーシップ型雇用の例ですね。
具体的な違いは表がありますので、こちらを見るとわかりやすいです。
(引用:アカリク )
そもそもなぜジョブ型雇用がニュースになっているのか?
これは簡単な話で、2つの理由があるからです。
- 大企業が終身雇用は無理だと認めた
- 大企業が生き残るために犠牲を払うことを宣言した
一つずつ説明します。
大企業が終身雇用は無理だと認めた
もともと大企業は終身雇用は無理だと判断していてジョブ型雇用に目を向けてはいたんですね。
とはいえ、ジョブ型雇用に切り替えてしまったら大ブーイングが起きることは理解していたのです。
なぜなら、無能な管理職の人などを辞めさせることができてしまうため、既得権益者側からすると「それは困る!」ということだからです。
なので企業側はずっと困っていたんですが、そこにコロナがやってきました。
そこで晴れて「こんな状況だから終身雇用でみんなを助けることは無理だよ。」と声を大にして発表したのです。
実際、日本を代表する企業である日立の専務がこのように言っています。
(引用:Yahooニュース )
まぁその理由もわかります。
大企業が生き残るために犠牲を払うことを宣言した
そして、ジョブ型雇用に切り替わるということは即戦力を求められます。
仕事に対して人をあてがうため、戦力がない人は不要なんですね。
なので、当たり前ですが、リストラがおきます。
企業が一番重たい固定費は人件費ですから、ここにメスを入れるわけです。
つまり、失業者が増えるわけなので、大きくニュースになっているわけですね。
ジョブ型雇用の大企業の事例
では実際ジョブ型雇用を取り入れていくと決めた企業はどれくらいいるのでしょうか。
2020年8月現在では、
富士通:2020年度に課長級以上の管理職で導入し今後順次拡大
日立:2021年4月から約2万3000人対象に21年4月から本格導入
資生堂:2021年1月から少なくとも約8000人のオフィス社員にも拡大
(引用:日経新聞 )
と言っています。
上場企業でこれら動きがあるので、成功事例などが出たら一気にその他の上場企業が導入し、中小企業へと下りていき、日本全体がジョブ型雇用になるでしょうね。
ジョブ型雇用は働き方をどう変えるか?
ジョブ型雇用は働き方を大きく変えていきます。
具体的には、会社員の人は就業時間以外がほぼ勉強に費やす時間となるでしょう。
理由は、ジョブ型雇用になるとジョブディスクリプション(日本語では職務記述書と言われています)が必要になるからです。
ジョブディスクリプション(以下、JD)は、今までやってきたことやスキル、具体的にできる業務内容、資格などを記述したものです。
これがなければ企業は人を採用しない状態になるので、会社員の人は通常業務をこなしていればいいという状態ではなくなったわけです。
成長性を感じられない、結果を残せない、求められた責任を果たさないとなればすぐさま別の人に入れ替えられることもありますし、自分以上のJDのクオリティがある人を見つけたら挿げ替えられることも出てきます。
なので、仕事の時間以外もキャリアアップのために自己投資をすることを求められるようになるのです。
特に、ライバルは日本人だけではありません。
いまや外国人も日本に出稼ぎにきている人も多く、彼らは日本人よりも勤勉で、かつ能力が高い人が増えています。
ハンバーガーショップやコンビニで外国人を見かけることも増えましたが、実は大企業の内部や役員クラスも外国人になっている企業も増えているのです。
こうなると会社員の人は本当に生き残りをかけて必死に勉強をしなければ生き残れない時代となってきたわけです。
ジョブ型雇用から見る日本の未来
会社員側から見ると非常に厳しい時代になることには間違いありません。
正直、JDを提出して認めてもらうことで雇用されるというのは、起業するのと同じくらいエネルギーを使うわけですからね。
それならフリーランスで働きたい、という需要も増えてくると思います。
一方で企業側からするとスタイリッシュな企業が増えるでしょう。
メンバーシップ型雇用のせいでお荷物になっている人材を合法的に切り捨てることができ、即戦力となる人材を都度確保できるわけですから新陳代謝も多くなり、筋肉質な企業が増えることになります。
実際、ジョブ型雇用を採用している国は生産性が高いというデータがあります。
(引用:日本生産性本部 )
競争が激化する世界になる
なので日本自体を長期的に見た場合、労働生産性は上昇することが想像できますが、雇用される立場では常に自分のキャリアプランを考えて行動することが求められるようになります。
当然、転職率も大きく上がります。
キャリアアップのチャンスも今以上に増えるということですからね。
また、これを機に個人事業主として独立しようという人も増えてくると思います。
僕個人としては危機感はないけれど既得権益層にいる大人たちが一定数いることは経験上理解しているので、それらの人を大きく抜かすチャンスだと思っていますし、そのポジションを奪い取るチャンスだと考えています。
そう考えるととても楽しい時代なのかなと思っています。
あなたもジョブ型雇用が完全に浸透する前に自らの意志でキャリアプランを形成してみてください。